掲示板から消えゆく言葉
中国の検閲についてどの程度皆が知識があるかは知らない。
私は2005年に起きた中国の反日デモの時に実際に経験した。
反日デモ
日本の過去について双方様々に言い分がある。
その時は 小泉元首相の靖国参拝 が発端となったと言われているが、その真意も定かではない。
反日の叫びが高まる中、何故君たちはそんなに日本が嫌いなのか?
なぜもっと平和的に解決しようとしないのか?
等の話し合いをするべく、中国の掲示板内に入った。
つたない英語なのだが分かる奴は分かる。
I'm just from Japan
Why you guys getting mad?
今、日本からだけど 何故君たちはそんなに怒ってるの?
という書き込みを続けた。
反応する中国人が現れはじめた。
日本鬼子
これは日本人に罵声を浴びせる言葉が出てくるなか、
I'm ordinary Japanese so I want to talk with calm down.
私は普通の日本人で冷静に話し合いたいと書き込む。
すると、ある中国人がお前は真面目な日本人っぽいなと反応した。
Why you getting mad?
何故あなたは怒っているのですか?
Because of Japan did bad to Chinese
と日本は中国人に悪いことをしたからだ!
と反応、その後、あなたたちは言論の自由が無いから意見が言えない等のやりとりを5分位続けただろうか。
実はその掲示板には数人の日本人が入り込んでいたようで、
日本語で、『そろそろ始まるな』という書き込みが有った。
私は『え?何が始まる?』と聞くと、『公安・検閲』というタイプ。
そして、『え?検閲?』という文字を打つが画面に自分の文字が現れたり現れなくなったり、『なんだこれ?』というタイプは現れた。[What's this!]?という文字は現れない。『Hey can you see it?』という文字は出ない。
徐々にこちらの言葉が届かなくなる。
そして完全にこちらから打つ文字は届かなくなった。
日本叩きの大合唱の声を残し。
私は中国での検閲事情を実際に体験し、掲示板でさえコントロールされている中国のインターネット力に脅威を覚えた。
思想統制された人々の出現がどんな意味を持つかについて世界の歴史が証明している。
2005年の話だ。
2010年の今はより高度に組織化している筈だ。
情報というもの
情報は私たちの判断をつかさどる。
実は私たちが得ている情報は真実で無い場合がかなり高い。
特にワンプッシュ型のメディアは情報を一方的に送り続ける。
私たちは無意識のうちにそれらの情報を刷り込まれる。
ちょっと美形の男女や、有名な人々の発言が影響力を持つ。
テレビはその代表だ。
クーデターが起きる時、世界中の軍事勢力はテレビ局を占拠するのはそういった理由がある。
世界中の大衆は洗脳されている。
グーグルの登場
検索について多分、一般の人々はそんなに神経質にはなっていない筈だ。私たちの仕事は検索結果が人々にどう届くのかを考える仕事でもあるから、検索がどう行われるかについて研究している。
そもそも、インターネットを革命的な道具にしたのは実はグーグルだ。
参考)インターネット革命いよいよ始まる
http://comtogether.net/archives/92.html
グーグル登場前は、それこそ10種類ほどの検索エンジンを使い分け情報を探していた。
しかし、グーグルが登場してからは目的の情報への到達率からグーグルの利便性が増していき、その他の検索エンジンは姿を徐々に消していった。
実は先日グーグルの大阪のセミナーに行った。
そこでの説明。グーグルの検索結果については一種の聖域化しているとの事だ。
実は検索エンジンの影響力は計り知れない。
今のインターネットは検索エンジン無しでは成立しない。
皆が求める情報が意図的にコントロールされた場合…。
それは道具としてなり得ない。
グーグルはあくまで民主的であろうとしている。
http://www.google.co.jp/intl/ja/corporate/tenthings.html
グーグルは、その検索語句に対し、どのような結果を返すかについてリンクによる人気投票のようなものを指標としている。
それはウェブ上の民主主義と言えるようなものだ。
又、知のデータベースにしようとしている。
多様性のデータベースにしようとしている。
中国は13億の人々を抱えるにはコントロールが必要だという論理を元に検索結果を意図的にコントロールしている。
グーグルは中国からのサイバー攻撃というよりも中国から意図的にサーバー内の情報を取得しようする痕跡を多数見つけたと考えている。
それらにグーグルは我慢が出来なかったと思っている
知りたいことを知る。
その単純な事に私たちはたどり着けるのだろうか。
国家という壁を人類は超えられるのだろうか。
インターネットという道具
負の面も確かにある。
それは人間自身にも言える事だ。
善意の人間だけが生きている訳では無い。
私はインターネットを1994年から利用してくるなか、
このメディアの将来性を直感的に感じ、今ではインターネット関連の仕事をしている。その中で、グーグルという会社の下した決断は自身の存在価値を掛けた決断だと思っている。
グーグルは意図的に自分たちに都合の良いような検索結果を追求する事も可能だった筈だ。しかし、それを選ばなかった勇気に拍手を送る。グーグルはそういう意味で他の巨大IT企業とは全く違う。通常は自分たちの利益の追求が優先される。
理念の為に市場を放棄する事は苦渋の選択だったに違いない。
私たちのこの生きる世界
彼らは善良である事を求めている。
嘘だらけのむなしい現実をどのように平和な世界に出来るのか。
小さな力だが精一杯命を使い切ろうと思う。
何を言ってもいつか死ぬ。
だからこそ、命を掛けて自分が出来る事をつらぬこうと思う。
インターネットはそんな個人の力さえ包んでくれる。
グーグル撤退の決定は中国の今後に大きく影響するだろう。
中国が民主化したからといって良い国になれる保証は無い。
ただ少なくとも、中国の普通の人々が知るという欲求に答えてくれるインターネットは無くなった。
中国での論調は中国政府を支持する人々の方が多いようなので、それは中国の人々が決定すべき事ではある。
もし、貴方のメールが密かに検閲を受けていた場合…。
あなたは何をメールに書けるだろう。
これは恐い。フィルタリングすれば特定などいとも簡単だ。
それこそコンピューターの得意技と言える。
経済発展をすればする程、様々な意見が飛び交いはじまる。
それに伴い検閲も強化されるとすれば…。
日本から打ち込む文字が徐々に消え行く掲示板を思い出す。
誰かがこちらのIPを監視し潰した。
愛国心を植え付けられ、そのような国に生きるという事はどういう事なのだろうと思いを巡らす事件が起きた。
私たちの住む、日本は著作権法により国産の検索エンジンさえ持てない。国産OSは無い。ITはインフラ以外全く競争力がない。
(Tronはある。)
http://www.t-engine.org/japanese.html
追記
この問題は大ごとになるかもしれない。
Godaddy.com が cnドメイン販売を中止
http://www.godaddy.com/
DELLが追従しそうな勢いだ。
中国は反発をより強めるだろう。
香港ではグーグルを外す動きが強まっている。
何かまた裏で動いている感じだ。
トヨタバッシングも同様である。
皆、自国の思惑で様々な情報戦が始まっている。
ただグーグルが撤退する事で最も損失を受けるのは
実は中国国民自身だ。
グーグルのビジネスモデルはよりよいコンテンツを持つ(創る)人々に広告収益のチャンスを与え、共に伸びる事だ。
中国の人々はそのモデルが浸透する前に中国から撤退する事になる。
私自身はこのコンピューターという世界で最もイノベーションが起きている分野の、その最も学術的にイノベーションを起こしている技術に中国が触れられない事によって及ぼす影響は計り知れないと考えている。
http://www.google.com/prc/report.html#hl=en
先端技術に触れられない事によって人々のチャンスは減る。
特にグーグルは世界中の情報をリアルタイムで入手出来る現時点で最高の企業だ。その企業が下す決断と、13億の民を抱える国家の動向には今後も目を離せない。
参考リンク)米国との「サイバー対決」にみなぎる中国の決意
http://www.jiji.com/jc/v?p=foresight_3001&rel=j&g=phl
(ただ、同様の事は昔から2ちゃんねるでも行われている。)
2ちゃんねるのPV、1年で25%増 「工作員が貢献」
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0812/11/news078.html
グーグルと中国のケンカの狭間で
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20100325/213627/?P=1
国家統制された13億の民を隣国に持つ日本。
さて私たちにどんな未来が待っているのだろう…。
※実際には検閲をくぐる中国人も多数存在する筈だ。
そして彼らに対し利益をもたらす情報やアクションに対して彼らは敏感に反応すると思う。
中国でそれら情報の価値が飛躍的に高まるだろう。
グーグルの撤退は、中国へ情報を提供したい側にも制限を課す。
しかし、高いところから低いところに水は流れる。
有益な情報に手が届く人々に取っては逆に大きなビジネスチャンスになる可能性もある。